スペイン・バスクスケッチ旅日記(トロサへ)
・5月24日 トロサへ
曇り。少し肌寒い。
5月21日にアイスランドの火山噴火による火山灰の影響でドイツ北部の欧州航路の多くの便が欠航したとテレビのニュ―スが伝える。
やがてスペイン北部にも灰は到達するであろうとシミュレーション映像は語る。航空券販売会社のHIS日本に電話を入れ、もしもの事を考えMADRID支店の電話番号を聞いた。
RENFE セルカニア(近郊列車車内)
トロサに向け10時に出発。
近くのカフェテリアで朝食をとりRENFE(スペイン国鉄)の駅に向かう。
女性画家ソレには今日トロサに行くと連絡してある。
ソレは母親をサンセバスチャンの病院につれて行くので夫のミゲルに連絡してほしいと言う。
久しぶりにスペイン国鉄のCERCANIA(近郊電車)を利用しサンセバスチャンを12時15分出発し30分後トロサに到着した。
民鉄EUSCO TRENと違い車体も大きく本格的な電車である。
トロサに到着後ミゲルに電話して7年振りの再会の握手を行う。
ミゲルは私と同じ年齢ですでに年金生活を送っている。
毎日何をしているのかと聞くと「ウォーキング」と答える。
やがてソレも加わり近くのバルへ入りチャコリで乾杯する。
ソレは駅近くにアトリエを賃借していた。3人でそのアトリエに向かい最近描いた作品を見せてくれる。130号はあろうかMADRIDの街風景を描く絵にはソレ流の空気が見える。
彼女は自宅に腎臓ガンの母親を引き取り世話をしているので絵を描く暇がないと言う。
ミゲルの運転でさらに山奥のレストランに行く。以前、妻とソレ夫妻の4人で行った田舎のレストランである。
最初はレンズ豆(小豆に似ている)の煮込みにモルシージャ(豚の血のソーセージ)を加えた料理を食べる。酒はもちろんチャコリ。
次に厚さ3cmはあるチュレタ(スペアリブ)で歓待してくれる。
ポストレ(デザート)に入るとソレは落着かぬ様子でタバコを吸うために外に出る。
スペインの新しい法律で公的場所では禁煙である。その上タバコの価格が急騰したと愚痴る。いずれ近い内にタバコは止めると言うがソレの夫ミゲルは昔から喫煙しない。
食後レストランの裏庭で女主人の愛用のホンダ600CCのバイクを見せてくれた。これでヨーロッパ中を駆ける回るそうだが幼子の面倒は誰がみるのだろうか。
中心街に戻りトロサの街を案内してくれる。トロサは昔ギプスコア県の県都であった。マリオネットの博物館にも行く。世界で唯一の博物館だそうだ。
落着いたら日本に絵を描きに来る事をすすめ母親の面倒を見るソレと別れミゲルは車でサンセバスチャンまで送ってくれた