5月29日 友人ハビーと

・5月29日 友人ハビ―と
 昨夜の酒のせいかあまりよくは眠むれなかった。
 今いる場所はデバ村の海沿い。イケルの両親の1個建ての3階のベッドにいる。
 朝8時過ぎバル・イセンベに行き主人のラモンと再会を祝した。
後数年で年金生活者となると言う。その後何をするのかと聞くと何もしないと言うが、イセンベの店を閉めることは簡単には出来ないと思う。
 12時頃イケルの友人(私の友人でもある)ハビ―がやってきた。
ハビ―は37歳で独身で恋人はいない。
家もあり、車もあり、仕事もあり不足しているのはノビアのみである。
ハビ―は昨夜のナッチに似てシャイなところがある。ナッチは化粧品を売る会社を経営しているのでバスク女性にひどい目にあったのかもしれない。
 浜辺の近くのホスタル件バルのベランダで椅子に腰かけマティー二を飲みながらハビ―と話す。
「妻は元気か」と聞く。
まもなくイケルの恋人エレナもやって来てイケルは最後に来た。
エレナは
「私が会った最初の日本人で、良かった。」
と言うが
VIEJO(年寄り)で申し訳ない。その上VIEJO VERDE(助平爺)と言うと吹き出した。当たっていたのだろうか。
 イケルとエレナのカップルを前にしながら4人はデバの浜辺を歩く。今日は暑くなるらしく海水浴客が多勢集まっている。
 散歩の途中イケルとエレナが購入予定のマンションを見に行く。 
 デバ駅から5分程海側に歩いた道路沿いに新築のマンションがある。玄関を入ると広いロビーがありエレベータで5階に上る。マンショ
ンは80平方メートル。広いリビング ダイニングがあり寝室2部屋等
である。屋根から大きい採光窓が室内を明るく照らしていた。まだ家
具類はベッドのみが入り照明器具も未取付であった。
来年からここで2人の生活が始まる。価格は30万 €と高い。
 スペインの不動産バブルははじけたがバスク地方は土地が少ないため不動産価格は下がらない。人口2500人の村で80㎡で約3500万円のマンションは高すぎる。(給料は日本より格段低い)
 エレナは用事があるからと先に帰り、ハビ―とイケルと私の3人は近くの山奥の予約したレストランへと車を走らせる。
 サラダ3人分、スペアリブを食べ3人分で70 €をイケルとハビ―2人で払う。いつも申し訳ないと言うとハビ―は
「ここはスペインなので日本に行ったらお前が払え。飛行機の切符も買って送れ、だからここは気にするな。」
冗談とは言え、とんでもないことを言う。
 その後私が好んで描いたロジョラ教会へ向かった。ロジョラは来日したフランシスコ・ザビエルの兄弟弟子でイグナシオが開いたイエズス会の本部である。

ロジョラは木が生い茂り庭からの木の葉越しの建物は見えない。

 

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 帰り途、19時頃エイバールのバルに寄る。バルは人で溢れていて、

この時間帯はカフェタイムらしい。中も外も人でいっぱい。最近スペインの法律でカフェの中の喫煙が禁止されこんな田舎のバルでも大衆は外部での喫煙を余儀なくされている。
 エイバールは人口1万人の街で工場が多く労働者の街である。(サッカーの乾選手の所属チーム・エイバールの町でもある)
この地はハビ―の生まれ故郷である。ハビ―の買った中古マンションを見せてもらった。1人住まいにしては充分すぎる広さである。
 デバへの帰り途、イケルは1年前の会社の状況を語る。
 私がイケルの父親の会社を辞めたのは2004年でEU拡大によるスペイン国内工業生産の空洞化現象の始まる頃であった。その後も会社の経営状況は思わしくなく、仕事があっても利益が出ない。そして昨年に会社は倒産した。
 会社の再興を支えるグループと高額な退職金を要求するグループに2分され後者はストライキを実施し、会社の前にピケをはり出勤を妨げ女子社員に卵をぶつける等の行為に及んだ。他にも社長を中傷するビラをデバ村に貼り最終的には裁判となった。結局裁判では会社側が勝利し会社の復興に向け今皆が頑張っている状態だと言う。
 私には2分された両方に多くの友人がいる。もし昨年スペインに来ていたら大変な場面に遭遇していたであろう。
 イケルは社長の息子としてこの機に大いに成長したに違いないと思った。自分が経営者となった場合の施策を私に話す。
 彼を20代から良く知っている。30歳も歳の違う友人である。
 日本に憧れ大学を中退して剣道の胴着をかついで日本に来た。苦労しながら日本語と空手を学んだ。今空手3段だそうである。
会社危機の時、傍に息子がいて両親はどれほど心強かったかと思う。
 車はイケルの両親の住む1万坪の敷地、300坪の屋敷に着いた。
 最初にイケルはトールと言う黒い1歳のシェパードを連れて散歩に出た。他の3匹の犬も後を追う。7年前には15歳の大型犬シェパード・ラグーンがいたが安楽死で送ったと言う。
 他に牧場があってロバ4頭を飼っている。

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         イケルと愛犬トール

 イケルの父親ホセ・アンヘルに会い母親イティアールにも会った。
 お世辞可もしれぬが私が若いと言う。
 ホセ・アンヘルは会社クリシスで苦労したのであろう頭に相当白いものが目立つ。まだ57歳とイケルから聞いていた。