スペインで就職を(がリシア5泊6日100ユーロの旅)

34.100ユーロで5泊6日ガリシアの旅
 3月はポルトガル旅行、5月はヨーロッパ旅行に行くと決めていた。
 妻は退屈し4月に何処か旅行したいと言い出した矢先新聞に100ユーロ(1万3千円)ガリシア5泊6日ツアー(4月12日~17日)の案内を見た。
旅費、ホテル、食事付きである。
 信じられない安さである。
 旅行代理店に出向き確認した結果、新聞広告は正しかった。早目に予約し
ないと一杯になるよと言われ即金で支払う。
 サンセバスチャンでの集合時間が朝6時と早く電車がない。タクシを利用すると50ユーロ掛かる。
 50ユーロ(6千5百円)はそれ程高い金額ではないが100ユーロの旅行
代金に50ユーロのタクシ代はどう考えても不釣合いである。
 そんな話をよく行くバル・イセンベの主人ラモン(50歳)に面白おかしく話をしていた。
 ラモンもそれに合点して突然
「よし自分が車を出そう」
 と言い出した。そんな積もりで話したのではないと固辞したが
「問題ない。朝7時までに店に帰ればよい」
 と言う事で話はまとまった。
 旅行には案内パンフレットがなく集合時間と場所のみ指定されていた。
 どこに宿泊するのかも不明である。
 安価ゆえ手間は掛けられないのか、ミステリー旅行である。
 その日が来た。早朝5時半ラモンは3000CCのジープ型日産車に乗り家の
下で待っていた。
 サンセバスチャンのバス駅にはそれらしきガイドは見当たらない。
 周りに同じ様にバスを待つ人達がいて、ガリシア行きを尋ねると
 「そうです」
 と答える。
やがてバスが来て乗り込む。バスは簡単なリクアライニングシート付きで
贅沢なものではない。
 挨拶が始まり2人の運転手が交代しながら600kmの距離をガリシアに向
かうと説明後出発した。
バスはブルゴス経由でバジャドリッドまで南下しそこから進路を西のガ
リシアに向けて走る。
ガリシア地域に入るとオリーブ園が10kmも20kmも続く。
  そして夜の8時過ぎにポンテベドラ地域の入江のホテルに到着した。
 4星ホテルでまだ新しい。部屋割りをもらい中に入ると日本の旅館をイメ
-ジさせる広くて明るい部屋である。気に入った。窓からプールが見える。
 夜の10時全員食堂に集まった。食事も充分である。
 翌日から南はポルトガル北部、北はサッカーで有名なデポルティボの本拠
地ラ・コル-ニャ等毎日朝8時半から夜7時までバスで旅行に出かける。
(弁当まで用意してくれて)
最も記憶に残るのは“サンチャゴ巡礼”最終地の教会のミサを見学した事
である。天井から吊下げられた香炉の振り子運動を見た。
 ホテルで女性社員が妻に日本語で何か書いてくれと頼む、妻は持参した筆
ペンでスペイン語の名前を当て字を使い漢字で書く。
 それを始めると人の列が出来た。
 妻はどこでも人気者である。
 私達がベースにしたホテルはリアス(入江)にあり湾内のかきや貝のイカ
ダを見ていると瀬戸内海の安芸津~呉の風景を思い出す。日本のリアス式三陸海岸はここから名前が来ている。
 何故この旅行が開催されるのかを聞くと、シーズンオフに来客は少なく宣
伝広告に金を費やすなら体験してもらう方が良いとの選択だそうだ。
 前の会社の同僚に話すが100ユーロ5泊6日の旅を誰も信用はしない。