スペインで就職を(会社編) 同棲、自動車を買う、保険の高価さ

21.同棲生活
 恋人はスペイン語でノビオ・ノビアと言う。(末尾は男性・女性名詞の
変化である)
 最近の恋人達は結婚に至るまでの、同棲生活を経る若者文化がある。
 これを、パレハ・デ・ヘッチョと呼ぶ。(Pareja  de  hecho)
カトリック教徒の強い宗教的文化を持つ国でありながら、離婚を避けるため試行期間を置くらしい。現在は女性の職場への進出がめざましいため、マンションは2人で折半して購入する。
 同棲生活の結果子供ができた場合は結婚に進むが破局の場合はマンションを売却して分ける。(ローン借金も残る)
 同棲生活の中で破局を迎える話も少なくない。
 事実、同僚で少し短気だが仕事ができ、女性にもてるJ君は同棲中で翌年結婚式を挙げる準備にかかると話していた。
 その1ヶ月後ノビアに逃げられたと聞いた。
 結婚相手に関し親が口出す事はありえないが、同棲生活に入る前に家族に
は正式に結婚対象の相手として紹介する準結婚である。(役所にも届出る)
 スペインでの結婚式を含む休暇は法律で2週間の有給休暇が認められて
いる。初婚でも再婚でも適用できる。
 一般的に男性・女性共、婚期が遅い。
  中には9年間も恋人のままの人達もいる。
 何故と聞くと女性の方は家にいれば母親が全てやってくれて何も不自由しないからと言う横着者もいる。
 恋人のいない30歳半ばの男性は独立して家事も全てこなし不自由しないから結婚の必要もなくその機会にも恵まれないと言う。
 バスク女性の性格のきつさも理由なのかも知れないが。

 

 

22 車を買う
1.) 中古車ホンダ・シビック
 アパートから会社まで通勤距離が7kmある。
 今まで同僚仲間の車に便乗してきたが、出勤時間がころころ変りついに車
を買う必要に迫られた。
 スペインは国際見本市の様にメーカー・車種の車が豊富である。
 あり過ぎて如何なる車を何処で買えば良いのか解らない。
    勿論中古車であるが。
サンセバスチャンに住む友人メンチュウの主人に車探しを依頼していた。車が見つかったので見に来るように連絡があり、休日に出向いた。
 走行距離12万キロ、7年前のホンダ・シビックで約45万円。
 エアコン無、手動式変速機。濃いグリーン色で外面塗装は申し分なかったが走行距離12万キロに抵抗があった。日本なら廃車を考える走行距離である。
 この国で20万キロ走行するのが当たり前らしく、変速機は手動式が一般的でディーゼルエンジン車が多い。
 この車を買う事に決めたのはメンチュウ夫婦の奨めと中古車のディーラーを彼等が良く知っている事への信頼である。
 さらにはハンドル周りの操作部品が日本で使用していた車と似ている点であった。
 2003年2月に車代を銀行に振り込んだ。

2.) 自動車保険
 次は保険である。保険に入らなければ車には乗れない。
 この保険が大問題であった。
 社長夫婦から友人である保険会社の幹部社員を紹介してもらった。
保険金が年間25万円必要だと言う、しかもこの保険は相手にしか支払われないもので自損事故には適用されない。
 車を45万円、保険25万円とは信じられない。
 それはスペインでの免許証切替え後1年しか経過してないので高くなるらしい。私は日本で40年前に免許を取り何年も車に乗っていると言っても他国の話で保険業界では理解されない。
 大いに困った。
 車屋には金を支払っているがそこから車を移動できない。
 考え付いたのは“日本大使館で日本の免許書を翻訳してもらった時のコピーを送付してもらう事”である。
自動車免許証のスペイン切替えは日本大使館で翻訳後それにサインをもらい簡単な機能試験合格後に有効となる。
 その翻訳にはいつ免許を取ったか日付が書いてある。それを保険会社に提出して社内での検討を待った。
 結果3~4年前に免許を取得した事として16万円まで値下げとなったがそれでも思わぬ出費であった。車と言い、保険と言い高い買物であった。
 スペイン国内で若い人達が車を買い乗り回している背景には親名義の車にして親の免許取得後の年数から算出する安い保険料金支払いの裏があるらしい。保険にはフロントガラス破損事の保障の条件を追加した。

3.) 左側通行と縦列駐車
車も保険も一段落したが、次は左通行の対処である。
会社の車を使って練習した事はあるがT字形三叉路の1本道から合流する時必ず反対車線を走る。
 言われたことは「道路の中央側に運転席がいつも来るようにしなさい」であった。
 解っていても出来ない。変速機が手動なのでやる事が色々とある。
次第に慣れてくるが、ガソリンスタンドで給油直後に反対車線に入り対向車を発見しぶつかる寸前にハンドルを切って難を逃れた事もある。
 その次に困った事は縦列駐車。日本であまり慣れていない。
 駐車は路上駐車で早い者勝ちである。
前後を車に囲まれた狭い場所での縦列駐車は難しく随分と時間を要する。
 たまりかねたスペイン人が指導に来る事も一度や二度ではなかった。
 ホンダ・シビックは快調に走り通勤を楽しくさせてくれる。
 海岸線の断崖に設けられた道路は急な曲線が右に左にうねる。ハンドルを切り違えると20m下の海に真逆さまに落下する様なスリルに飛んだコースを走る。景色は絶景である。(表紙の絵はデバ村への入口道路)
 但しエアコン無しに真夏に高速道を走るのは問題である。