スペインで就職を回想録(バスク地方の気候)
12.気候
サンセバスチャンは北緯43度に位置し札幌市とほぼ同緯度にある。にも関わらず冬期に雪が降る事は大変珍しい。長年サンセバスチャン周辺に住んで一度も雪を見た事はない。(サンセバスチャンはデバから40km東に位置する)
緯度が高いのに暖かいのはメキシコ湾流の循環海流の影響らしい。
「サンセバスチャンに四季はあるのか」とよく聞かれるが存在する。
紫陽花はバスクのどこへでも植えられ5月~6月に大きな花をつけ、窓辺の植木バチにベゴニアが植えられて多くの赤い花が目を楽しませてくれる。
サンセバスチャンの月別平均最高気温は8月で24度C
月別平均最低気温は1月で6度C。
同市が避暑地と言われる所以であるが実際には気温がもう少し高いようにも思える。 夏の湿度は低く冬に高くなる事がある。
夏はアフリカからの南風がイベリア半島を通過するため乾燥し冬にはカンタブリア海を渡る北風が湿気を運ぶのかもしれない。冬の湿気も嫌なものである。
高層住宅のせいなのか、蚊がいないのか窓に網戸はない。網戸は設けられない建築構造である。一般家庭にはクーラーは設備されず冬の寒さ対策としてカレファクションと呼ばれる蒸気暖房設備や暖炉が設備されている。
バスク地方に地震や台風はないが10月末から2月にかけ時折猛烈な嵐が到来することがある。
年間を通じ降水量が多いせいか緑あふれる環境にあり日本と似て急傾斜地が多く大雨による土砂災害もある。チリミリと呼ばれる霧雨が良く降る。
デバ村からイチアールにかけ山霧が発生し視界が10m程度になり車の運転を難しくする時期がある。
初夏にサクランボが秋には松たけが八百屋やスーパに並びいずれも日本の価格より相当に安い。
13.夏時間切替え
北海道で話題になっている夏時間切替えはヨーロッパで既に実施されている。
3月の最後の週の土曜日の夜12時をもって1時間 時間が前倒しされる。
スペインで何度も経験をしているが、こちらのサラリーマン生活を始めて初の体験をした。
老人たちは「馬鹿な事だ」とあまり賛成ではなさそうである。時計が変わると言うのはやはり不自然なのである。
こちらのサラリーマンによれば夜寝る時がつらいらしい。
体は通常の時間を覚えていて1時間早く寝るのは病気の時のようで10月に行なわれる時間戻しは1時間夜更かしをする積りでこちらの方がやり易いと言う。
後に車通勤を始めてから春を迎える頃やっと朝の景色が光の中に表れた
と思うと夏時間切替えで再び闇の中に戻るのは寂しい。
現地の人は切替えに慣れるには1~2週間は必要だと言う。
夏時には日本との時間差は7時間になる。
2020東京オリンピックで夏時間導入が議題にあがったがこれは列車のダイヤ変更や航空機の予定時間も含め含め外国まで巻き込む大変なことになる。