スペインで就職を(会社編)家事

家事
1.) 自炊
 1人暮らしに慣れているとは言え働きながらの家事は初めての事である。その中でも最も面倒なのが自炊である。
日本と異なりコンビ二や弁当屋はない。惣菜屋はあるが少し高く毎日代わり映えもしない。レストランは高価で日常的ではない。
食材をスーパーで買えば安い。(スーパーは家から徒歩5分の場所にある)
そういう事情から、毎朝・毎夕は自炊するしかない。
 料理の経験は乏しくスペインで習得したスパゲッティ・ミートソ-スと
簡易パエジャは唯一の自分流メニュ-であった。
 秋葉原で購入持参した200Vの小型電気炊飯器、当地で入手できる安い米
(1キロ100円)とスーパで買えるキッコーマン醤油をかなり重宝した。
さらに妻から味噌やカレーのル-等送ってもらい基本的な物は揃った。
何は無くとも“味噌汁と卵御飯”があれば馳走である。
親子どんぶり・野菜いため等冷蔵庫の残り物を適当に処置しながら何とか食べる。仕事の遅い時に疲れてソファーで仮睡していて目覚めると
「食事の準備をしなければ」
あわてて準備にかかる。
とにかく他人に頼れない、他人はいない。
 村に家の掃除や洗濯をする職業の人はいるそうだが食事をつくる人はい
ないらしい。
会社の女性同僚にそんな話をすると、
「スペインで料理するのは母親と妻以外にない。恋人も愛人も絶対にその
人のために料理はしない」
と聞いた。
 会社の中には30代半過ぎの独身男性が多くいて親元から自立している。
その男性社員に料理をどうしているのかと聞くと、週末に次週の料理を2
~3種類作り冷凍しウィ-クデ-に解凍して適当に食事をするらしい。
料理も好きだと言うから嫁はいらない。
 そう言う人達の家を訪れてみると掃除も行きとどき立派な独身生活をし
ている。そして料理が上手である。
 妻子持ちの家庭でもお客を招待する際の手の込んだ魚料理は主人の仕事
らしい。


2.) 掃除、洗濯 
掃除は週1回、洗濯は週2回を心がけていた。
不精に慣れてくると掃除は月1回に減ってくる。掃除をしなくても死ぬ事はない。
特に6部屋も持っているとそれだけで憂鬱になる。
 洗濯は服や下着類に限度があるため怠けるわけにはいかない。
備付けの洗濯機がある。
普通の家庭ではキッチンの流し台の横に洗濯機が組み込まれていて主婦の動線を徹底的に短くしているが不衛生な感じがする
家では使わない浴室に洗濯機が大きな顔をして中央を分捕っている。しか
も丸いガラスの蓋は最近日本でも流行りの90度横向き型である。(流し台横に組込む発想から横向き洗濯機が生まれたのだろう)
 洗濯は週半ばと週末に行なう。
ウィークデ-は余裕がないので時間との戦である。
先ずシャワーに入る前にたまった衣服と着ているもの全て洗濯機に放込
みシャワーを浴びる。その間に洗濯機は仕事をするという具合に時間を節
約する。
 スペインでは集合住宅が主流で建物の中心部に約5m四方の共有空間が
地階から屋上に向けて吹抜けている。
その最上部には簡単な屋根が設けられて雨水の侵入を防いでいる。
吹抜け空間内に洗濯物を干すので建物外部からは洗濯物は見えない。
もし外に干していたら即座に注意される。
 景観美を保つためであるが、建物が古く狭い家は例外で通りの頭上にシー
ツなどの洗濯物が垂れるが放免される。
この吹抜け空間には各階の窓から50cm程張り出した場所に3列のロープが両端を滑車で支持されている。洗濯物をかけては横送りして手の届かない所にも干すことができる。
時々、パンツやソックスを下に落すが家主に保管してもらい、廊下の手摺
にかけてもらう。上階の人もよく落として自分の洗濯物の上に引掛っていた。
この方法は家を留守にしても雨の日の取込みの心配は不要である。
スペインだけではなくヨーロッパの集合住宅の外部に洗濯物が見えない謎の答えだと思う。