スペイン・バスクスケッチ旅日記(イケルと恋人)

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  その後PASEO・NUEVO(新散歩道)を歩き中華レストラン北京にて昼食をとる。
 食後は波止場に腰掛けて港の教会のスケッチに時間を費やす。
 イケルとは6時半にサンセバスチャンで会う約束をしていた。
 スケッチの途中
「今日はサッカーの試合があり駐車場が一杯のため少し遅れると」
電話があった。
   市役所横のオープンカフェでビールを飲みながら辺りを観察する。広場で失業者のマニフェストとして太鼓を叩いて踊るグループがいる。スペインでは失業者500万人と言われるが日本人なら太鼓や踊りをする暇があればハローワークに通うだろう。
 午後8時過ぎとなりイケルからすぐ傍まで来ていると再び電話がある。恋人達は二人共Gパンに黒の長袖シャツのお揃姿にてイケルが彼女の肩を抱くようにして歩いて来た。

 恋人エレナは私を気使う。イケルと幼馴染、33歳・歯科医でクリニックを経営しているそうだ。男性より強いと言われるバスク女性にしては優しく良き時代の日本人女性を思わせる美人である。
   バルを2~3軒梯子して中央街に新しく出来たFNAC(ショッピングモール)に入った。
   FNAC(フランスの大手電気品チェーン店)の建物を今まで気付かなかった。以前はなかった。
地階にスーパー、1階にはZARAが入りエスカレータで上るとパソコンやカメラの販売店に喫茶コーナーとレジカウンターさらにその上は音楽CDや本販売コーナーがある。
陳列棚で珍しい本を見た。
    作家桐野夏代の「グロテスク」の単行本(スペイン語版)が売られていた。ページをめくると円とユーロの関係など本を読むための基礎知識が紹介されていた。
        何故スペインの田舎で?
        帰国したら是非読んでみたいと思った。
      熱々の恋人達と別れ夜9時半に帰宅した。
      今夜はサッカーの応援で青と白の縦縞のユニフォームを着た人で溢れている。
  スペイン1部リーグはバルセロナレアルマドリードの様な圧倒的強さのチームに対し9位から18位までは勝ち点が47~43点とドングリの背比べである。
     5月21日(土)時点ですでに下位2チームは2部転落が決定しており後1チームの転落か残留かを争う5試合が今夜11時から始まる。
    サンセバスチャンのチーム・レアルソシエダもその対象で残留をかけヘタフェと対戦する。メンチュウは試合を見たいのなら切符を用意すると言うが断った。ゆっくりと部屋でテレビを見ようと思った。
     試合は最初ヘタフェが得点しその後ソシエダが追いつく展開となった。テレビでは他チームの試合経過を刻々と告げる。
   一番転落に近いラ・コルーニャデポルティボ)が1点リードされていた。我々のみでなくベンチサイドにも情報は流れていた。残留には勝つ必要はない、引分けでよかった。相手に球を与えず自軍フィールドで延々と球回しを行う。結果引分けで両者共1部リーグ残留が決まった。観戦する側から見れば全く面白味のない試合であった。
ラ・コルーニャは1世紀の歴史の中で初の2部リーグ転落となった。私がスペイン滞在中はいつも上位にランクされバルセロナやレアル
マドリードに次ぐ強豪チームであった。